2019年10月

展示会のお知らせ

2019年10月25日

 

 

 

 

祈りをテーマにしよう、と決めた今年の初め。

 

そんな時に出会ったのが『時禱書(じとうしょ)』でした。

 

キリスト教徒が定時に祈りを捧げるときに用いた賛美歌や

 

祈りの言葉などが書かれた本。

 

その本からタイトルを付けたのですが

 

本展では「祈りの時」という意味として捉えることにしました。

 

 

 

 

さて、「祈りの時」と決めたのはいいのですが

 

目には見えないものを表現することは予想以上に困難な作業で

 

形にするにも、何を取っ掛かりにしてよいものか頭を抱えてしまい

 

すっかり迷宮の森に入ってしまいました。

 

 

 

 

そこで範囲を狭め、自分の中にある祈りを改めて考えてみようと

 

余計なものをハケで払いのけるように掘り進めていくと

 

故郷沖縄の「自然崇拝」と「キリスト教」のふたつが

 

原風景として形を現しました。

 

 

 

 

蝋燭の灯り

 

ひざまずき祈る修道僧の姿

 

今はもうなくなってしまった儀礼

 

自然を崇める思想

 

 

 

「自然崇拝」と「キリスト教」という

 

相反するふたつのモチーフから感じたことや

 

思い浮かぶ場面を描いてみることにしよう

 

こうして何とか迷宮の森から脱出しました。

 

 

 

祈りを考えてゆくと、自然と人との関係が見えてきます。

 

人が遥か昔に地面や壁に絵を描き

 

文字を持っていなかった頃から今もなお続いている大切な時。

 

祈ることで自らの弱さを知り、謙虚に生きることを思い出します。

 

 

 

 

時の作り出す錆の力を拝借しながらこのテーマを描くことも

 

なんだか偶然ではないような気がしています。

 

今回、わたしの手では抱えきれず

 

取りこぼしたものもたくさんあったと思います。

 

それでも、観てくださる方々と共有できる思いが

 

そこにあることを願って描きました。

 

 

 

 

会期:11月6日(水)〜30日(土)

 

9:00〜17:00

 

定休日:日曜・祝日

 

会場:八雲茶寮

 

目黒区八雲三丁目4番7号

 

03-5731-1620

 

https://yakumosaryo.jp

 

 

 

 

どうぞご高覧くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時禱」 制作日記

2019年10月22日

 

 

 

10月18日

 

引きこもり中。

 

ガラス窓越しに秋の空を眺めるのが楽しみのひとつだったのだけれど

 

突然去ってしまったようで淋しい。

 

この寒さに、急かされているような気がして胸がドキドキする。

 

今更ながら焦ってしまうけれども、今日も丁寧に絵と向き合おう。

 

 

 

 

10月19日

 

一歩前進したと少し安堵したら翌日は三歩後退。

 


うぉぉぉぉーーーーーーーー!!!!!

 


と叫びたい気持ちを堪えて平静を装う。

 

 

 

 

10月20日

 

あることがきっかけで

 


意図していなかったことがきっかけで

 


ようやく何か歯車が回り始めたような感覚。

 

嬉しい。

 

どうぞこの歯車が止まりませんように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時禱」 制作日記

2019年10月16日

 

 

 

 

9月25日

 

錆キャンバスに描く意味をもっと考えてみては?

 

というアドバイスを受けて、とても納得。

 

改めて考えてみる。

 

錆によってすでに描かれた模様と色はとても綺麗で

 

そこに手を加えることがためらわれる。

 

 

 

 

9月26日

 

どうやったら錆を生かせるのだろう。

 

絵の具をのせるのがもったいないような

 

でもやってみたいような。

 

思い通りになってくれない錆に苦戦の毎日。

 

コントロールできないことは重々承知しているのだけれど・・・

 

なんとかしようとする自分との闘いでもある。

 

結局自然と時の作り出す形には敵わない。

 

謙虚に

 

謙虚に

 

わたしが出来ることはほんの少し。

 

 

 

 

9月27日

 

こちらでの生活の方が長くなったのに

 

沖縄の信仰が今でも身体に染み込んでいることに今更ながら驚くことがある。

 

生活の中に祈りがあった。

 

そして思い出されるのは

 

台所に祀られた「火の神」に手を合わせる母の手

 

山の稜線がいくつも走ったような手。

 

素朴であたたかな祈りを懐かしく思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

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