7月、銀座の森岡書店で開かれたヨーガンレールの展示は、
彼の自然に対する真摯な想いにあふれたものでした。
かつての美しかった砂浜を愛していた彼は、波によって打ち上げられた大量のゴミに嘆き、
それを拾うことが日課となり、そのゴミを材料にして
色とりどりのオブジェやバッグ、キーホルダーを制作しました。
それらの作品はただ美しいだけではなく、
ヨーガンレールなりの文明への警告でした。
天井から吊り下げられたカラフルなオブジェを眺めながら、
このオブジェをどれだけ作ればゴミ問題に明るい兆しは見えてくるのだろう、
そんな思いが脳裏をかすめ、諦めにも似た無力感を感じました。
もしかしたら大量のゴミを目の前に、彼にもそんな思いが過ることがあったのかもしれません。
しかし彼は「ものを作ることを仕事にしているわたしの小さな抵抗」と、
本の中に記してあったように、愛犬と砂浜を散歩しながらゴミを拾い続け、
オブジェを制作することを最後の仕事としたのです。
自分のできることで環境問題を考え、関わってきたヨーガンレール。
自然を愛し、生活を大切にした彼の生き方が、
静かに優しく身体に染み入るようでした。