軟式美術部

2017年4月6日

 

 

 

 

敬愛する彫刻家の前川秀樹さん。

 

先日、その前川さんが主催する軟式美術部(以下軟美)に初参加しました。

 

 

 

以前から前川さんの言葉に直に触れてみたかったので、

 

前日は楽しみと緊張が入り混ざり、朝からそわそわと落ち着きがなく

 

午前中から明日の持ち物を早々と揃えて玄関へ置き、まるで遠足前日。

 

 

 

今回の軟美は、絵の具の歴史についてお話しを聞きながら、

 

実際に前川さんが国内外のあらゆる場所で採取してきた絵の具の原料となる貴重な岩石を使って、

 

実際に絵の具を作ってみましょう、というワークショップです。

 

幼い頃から慣れ親しんできた絵の具が、

 

「残しておきたい」「表現したい」と思う人の気持ちと共にどのように進化してきたのか。

 

お話しの中には、学生の頃苦手だった化学の用語もたくさん出てきました。

 

絵の具の歴史は、化学の歴史でもあったのです。

 

学生の頃、前川さんが先生だったらわたしも化学に興味が持てただろうなぁ・・・

 

などと、勝手なことを思いながら

 

お話しを一言も聞き逃すまいと、全身を耳にして懸命に聴いていました。

 

 

 

実際に絵の具を作ってみたのですが、一色の絵の具を作るにもこれが結構大変な作業。

 

たくさんの色彩の中から好きな色を選び、手軽にチューブからぐにゅっと出す

 

アクリル絵の具が主流になっていますが、

 

昔は岩石や土を潰して粉にし、ふるいにかけて粒を選別する作業から始めていたのです。

 

日本画は今でも顔料を溶いて使用していますね。

 

色を定着させ、永く残したいと思う気持ちから様々なことを考えてきた

 

先人たちの知恵と熱意と研究には感嘆します。

 

 

顔料を用いた絵の具がどのような特徴を持ち、

 

どのような表現に向いているのか。

 

今回はそこまでは辿り着けませんでしたが、心地よい疲れと興奮冷めやらぬ気持ちのまま

 

帰りの電車の中で試し描きを取り出しては眺め、今日1日の出来事を振り返り

 

満たされた気持ちで家路につくことができました。

 

 

初参加でしたが、前川さんを始め、軟美常連の皆さんにも親切にしていただきました。

 

前川さんは、一言では言い表せないのですが、懐の大きな方という印象。

 

繊細さと、洞察力、美の本質を見る厳しい目を感じましたが、決して窮屈ではなく

 

寛容ささえ感じられ、一緒にいるこちらも必要のない力が抜けていくようでした。

 

わたしもいつの日か、そんな人間に近づけたらいいなぁ。

 

ひねくれ者だから無理かなぁ。