雨にまつわる言葉

2018年6月11日

 

 

 

 

 

 

 

 

雨の多い6月になりました。

 

ほんの短い季節でも、変化してゆく木々や空模様を眺めながら日々を送ることができるのは

 

恵まれたことだとわかりつつも、晴天の日を待ち望んでしまいます。

 

 

 

 

湿度も高くて何かと厄介がられる「雨」ですが

 

日本には雨にまつわる言葉がたくさんあります。

 

 

 

 

なかでも好きなのは「翠雨」。

 

「スイウ」と読みますが、青葉に降り注ぐ雨だそうです。

 

なんとも瑞々しくて透明感があって、繊細な美しい言葉です。

 

 

 

 

 

 

「晴耕雨読」ものどかでいいなぁ。

 

晴れた日は畑を耕して、雨の日は家で読書をして。

 

理想の生活です。

 

現代ではそうもいきませんけど・・・

 

 

 

 

今のわたしにぴったりなのは

 

そうですねぇ・・・

 

「雨垂れ石を穿つ」といったところでしょうか。

 

 

 

 

自然の美しさも脅威も感じながら観察してきた先人たち。

 

降り注ぐ雨に心情や人生を重ね合わせ、季節によって呼び名をつけた感性には脱帽です。

 

彼ら、彼女らの残してきた雨の言葉を楽しみながら梅雨を過ごすのもいいですね。

 

そうは言っても、何かと体調を崩しやすい季節でもありますのでのどうそご自愛ください。

 

 

 

 

今日は雨の月曜日(名曲にありましたね)

 

忙しい日々が始まりますが、皆さまの上にも歓びの雨が降り注ぎますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自己満足なプロフェッショナル

2018年5月4日

 

 

 

 

 

 

ある日のこと

 

工房にいるC子が経験もないのにサンダーで鉄板を削りたいと言い出しました。

 

 

 

 

彼女は悪い人間ではないのですが、やりたがる割にはすぐに飽きるという困った性分で

 

彼女の被害にあった物たちの残骸が、工房にはいくつも転がっています。

 

 

 

 

工房の先輩達は「また・・・」と内心思いながらも

 

後々恨まれても困るので、仕方なくサンダーの使い方を指導しました。

 

 

 

 

初めはおとなしく神妙な顔つきで聞くC子。

 

しかし、C子はかなりの面倒臭がりで、しばらくするとそれが現れ始めました。

 

 

 

 

先輩の丁寧な指導に度々口を挟み

 

「この作業は毎回やらなくてはダメ?」「一番最後ではダメ?」と

 

やたらと手順を端折りたがるダメっぷりを発揮し出しました。

 

先輩もやりにくい中年後輩相手に

 

「これは毎回やったほうがいいですよぉ」

 

と出来るだけ穏やかな口調で答える気の遣いよう。

 

 

 

 

 

 

レクチャーを終えて、いよいよサンダー実践です。

 

サンダーという名称の通り、この工具を使用して鉄を削ると

 

雷のような火花がぱあーーーっと派手に散って

 

「おおおーーー!!!すごーーーーーいいい!!!かっこいいいいーーーーー!!!」

 

となります。

 

C子には、飛び散る汗のように見えるあの火花が、仕事の充実感を表しているように見えて

 

前々からその光景に憧れを抱いていました。

 

 

 

 

 

まるでコンクリートの塊を持っているかのような重い重いサンダーを

 

妙な体勢で持ちながら、つりそうな手でスイッチをオンするC子。

 

ウィーーーーーンと男っぽい音を出しながら回るサンダー。

 

気分も上がり、やや緊張気味のC子。

 

恐る恐る鉄板にサンダーをあてます。

 

 

 

 

ウィン、ウィン、と短く鉄板にあたる音。

 

あきらかに先輩たちの出すそれとは違う弱気な音。

 

 

 

 

火花がまったく散らない。

 

不満。

 

だんだんと削ることより、火花を散らしたいと思い始めるC子は

 

半ば強引にサンダーを押し当てます。

 

勘違いな思いでやっと出た火花も

 

ショボボオオオーーショボオオオーーーという感じで

 

C子はサンダーに素人と見抜かれた挙句

 

あっさりと主導権を奪われてしまいました。

 

 

 

 

操るという立場が逆転してしまったC子は完全にサンダーにナメられて

 

先輩方が10分もあれば終わる作業にあろうことか1時間近くもかかり

 

昼間に始まった作業は夕方になってようやく終わりました。

 

 

 

 

 

 

サンダーがけをしたという充実感で、気持ちだけは

 

「プロフェッショナル仕事の流儀」のはしゃぐC子には

 

この類の自己満足というか、しくじりがいくつもあるのです。

 

 

 

 

こうしてたったの、たったの数ミリを削るだけの作業は

 

大袈裟な過程を経て、C子の自己満足という結果で幕を閉じました。

 

 

 

 

 

 

 

念のため申し上げますが、

 

文中のC子(わたし)は自分の作品を制作しております。

 

ご依頼を受けましたお仕事には一切手出しはしておりませんのでどうぞご安心ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの形 わたしの形

2018年3月24日

 

 

 

 

 

 

 

まるいまるいきみが

 

 

 

 

 

ころころころころ地球の上を転がって

 

 

 

 

 

ころころころ人のあいだも転がって

 

 

 

 

 

こころもころころ転がって

 

 

 

 

 

ころころころころ笑いながら

 

 

 

 

 

この世界の真実へと辿り着くのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とんがってとんがっているあなたが

 

 

 

 

 

地球の上をカッタンカッタンと転がって

 

 

 

 

 

時々ぱたりと動かなくなって

 

 

 

 

 

トントンと肩をたたかれて

 

 

 

 

 

カッタンカッタンと再び転がりながら

 

 

 

 

 

この世界の愛へと辿り着くのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

まるいまるいきみも

 

 

 

 

 

とんがってとんがっているあなたも

 

 

 

 

 

広い宇宙に導かれて

 

 

 

 

 

ころころころころ カッタンカッタン

 

 

 

 

 

あなたのまわりを

 

 

 

 

 

わたしのまわりを

 

 

 

 

 

青い海を

 

 

 

 

 

灰色の空を

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの理由(わけ)があって

 

 

 

 

 

それぞれが選んだ形で

 

 

 

 

 

転がってゆく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読んでくださってありがとうございます。

 

お粗末様でした。

 

 

 

 

 

 

Forest Floor

2018年3月9日

 

 

 

 

 

 

 

すでにatelier galleryの頁でもお知らせしておりますが、

 

京都にございますmina perhonen galleriaさんにて

 

モリソン小林「Forest Floor」展が3月9日(金)より始まります。

 

 

 

 

展示を重ねるごとに繊細になってゆく作品は、以前にも増して豊かな表情を見せてくれます。

 

重厚で華やかな西欧のような雰囲気を放ちながらも

 

額縁の中に佇む植物たちは少し恥ずかしげにやや俯き加減。

 

その姿は、どこか古風な日本人とも重なります。

 

 

 

今回、すでに完成された形だと思っていた作品が見せてくれた可能性に驚かされました。

 

 

 

 

最後の最後まで気の抜けない工程をいくつも経ることで

 

素材に命が宿り、芽を出し、形になってゆきます。

 

 

 

 

その膨大な時間の工程を側で見ていると

 

どこまで表現を追求するかということと、作品の値段とのバランスについて考えさせられます。

 

 

 

 

戦後、西洋に追いつけとばかりに急いで詰め込まれた美術教育で育ったわたしたち日本人にとって

 

アートはまだ難解で敷居の高いものなのでしょう。

 

 

 

 

作品の値段を決めることイコール、アーティストとしての自分に対する価値。

 

 

 

 

芸術作品のように実用性がなく

 

掴まえどころのない目的のものに価値や値段をつけることはとても難しいことです。

 

今回の作品は、小林が自分の作品に対する価値を改めて考え、そして出した

 

彼なりの答えのように思えました。

 

 

 

 

少々違う側面からの展示ご案内になってしまいましたが

 

とても素晴らしい展示内容ですので、関西近郊の方もそうでない方も

 

ご都合がよろしければ是非ともご高覧くださいませ。

 

 

 

 

会期:2018年 3月9日(金)〜 3月21日(水)

 

※15日木曜日は定休日ですのでお間違えのないようご注意下さい。 

 

12:00〜19:00

 

作家在店日 3月9日(金)

 

会場:galleria

 

〒600-8018京都府京都市下京区 河原町通り四条下ル市之町251-2 寿ビルデイング3階

 

お問い合わせ:075-353-2217

 

 

 

 

 

 

 

 

きっかけ

2018年1月28日

 

 

 

 

ものごとを始めるに至ったきっかけ。

 

もしくは終わることを決めたきっかけ。

 

 

 

 

きっかけというと子供の頃に遊んだ人生ゲームを思い出してしまうのですが、

 

サイコロこそ振らないものの、これから進むべき道を左右するような

 

いくつかのきっかけや出会いが、人生の中にはあるように思えます。

 

 

 

 

2014年にatelier galleryで開催した彫刻展「光の祈り」。

 

小林から彫刻の背景に絵が欲しいと頼まれて

 

いつもの「作りたがりの3日坊主」で引き受けたのが

 

わたしが「錆画」を描くに至ったきっかけでした。

 

 

 

 

当時は、そのきっかけがお膳立てしてもらったような気がする上に、

 

なんとなく窮屈さを感じてなかなか素直に受け入れることが出来きなかったのです。

 

 

 

 

結果、錆画の魅力に気がつき、掘り下げてゆこうと決めるまでに

 

随分と遠回りをしてしまいました。

 

聡明な人ならばもっと早くに気がついたことかもしれません。

 

力づくで肯定するように聞こえるかもしれませんが、

 

この遠回りもわたしにとって必要な時間だったのだと思います。

 

今、大切な機会を与えてくれた小林にとても感謝しています。

 

 

 

 

わたしのきっかけは大きな波のようにやってきたのではなく

 

足元に幾度も打ち寄せる小さな波の中にありました。

 

後々振り返ってから気がつくのでしょうね。

 

「あのときがそうだった」と。

 

 

 

 

その小さな波に身を任せて

 

海月のようにゆらゆらと漂ってみると何処に流れ着くのだろう、などと想像してみるのですが

 

いかんせんこの頑固な性格、バシャバシャと全力で犬かきなどをして逆らいそうで・・・。

 

我ながら頭が痛いのです。

 

 

 

 

 

 

新年のご挨拶

2018年1月4日

 

 

 

 

 

 

明けましておめでとうございます。

 

皆様におかれましては、健やかな新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 

 

 

 

昨年もatelier gallery にお運びくださいましたお客様、家族、友人に支えられての1年でした。

 

皆様のおかげで、新しい年を迎えることができました。

 

誠にありがとうございます。

 

 

 

 

今までは、この腰の重さ、せっかちな割には何かと後回しにする怠惰な一面を

 

生まれ育った土地と環境のせいにしてきましたが

 

己で作り上げた性格だとヒリヒリと痛いほど自覚しまして(今更ですが)

 

今年こそは身を引き締めて参ります。(三日坊主になりませんように)

 

 

 

 

さて、2018年は10月に三島のsoraさんで、うつしきの小野さんとの2人展を予定しております。

 

プリミティヴで繊細な美しいアクセサリーをつくる作家さんで、絵画とアクセサリーで

 

どのような空間が作れるのか、緊張もありますがとても楽しみです。

 

 

 

 

作品もいくつか新しい試みを考えているのですが・・・うまくいくといいなあ。

 

まあ、何事も最初からはスムーズにいかないからこそやり甲斐があるのだと思って

 

コツコツと努力していきます。

 

 

 

 

これから大寒を迎え厳しい寒さが続きますが、皆様くれぐれもお身体自愛ください。

 

それでは、本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.i 」 Eriko Uegaki

2017年11月22日

 

 

 

 

 

見上げた空から

 

通りの街路樹に視線を移すと

 

いつの間にか赤や黄色に染まった葉に

 

時の流れを感じます。

 

 

 

 

ピアニストの上柿絵梨子さんは

 

atelier galleryに来てくださったことがきっかけで、

 

彼女の演奏を聴かせてもらえるようになりました。

 

そして今年の夏、一枚の素敵なアルバムを制作しました。

 

 

 

 

彼女は繰り返す毎日を愛おしみ

 

日々の中に散りばめられた幸せを丁寧にすくいあげて音にかえてゆきます。

 

 

 

 

遠い記憶の中の誰かを思い出したり、時に思いを馳せたり

 

毎日が儚く大切な1日の積み重ねだということに胸がきゅっとなるような思い。

 

 

 

今年の夏に発売された上柿さんの「.i」は

 

彼女の生活の視点から生まれた優しい曲の数々で構成されており

 

細かな粒子となった音が、少し硬くなった気持ちを緩めてくれる

 

とても心地の良いアルバムです。

 

12月5日には全国流通も決まり、ライヴも行うそうです。

 

 

 

 

これから年末に向かって何かと多忙な季節になりますが

 

このアルバムを聴きながら、ひとり過ごす時間も贅沢で良いですね。

 

上柿さんの情報はInstagramで見ることができますのでぜひご覧ください。

 

musicacallada.i

 

 

 

 

 

 

 

 

御礼申し上げます

2017年10月2日

 

 

 

 

10月に入りました。

 

秋の麗らかな陽射しと

 

これからやってくる冬をほんの少し感じさせる高くて静かな空は

 

情緒があっていいですね。

 

 

 

 

夏や冬の間をつなぐような短い季節は、美しい自然の移ろいを見せてくれます。

 

特に秋は、朝から黄昏時のような空気が流れているように思えて、

 

何時にも増してぼーっとしてしまいそうになるのです。

 

 

 

さて、9月は鎌倉由比ガ浜にありますギャラリー招山さんで「印象 空想 抽象」展がありました。

 

多くのお客様にお越しいただき、とても感謝しております。

 

ありがとうございました。

 

 

 

普段はatelier galleryでの展示ですが、

 

展示場所が変わると作品の見え方も少し違って見えました。

 

お客様やギャラリーのオーナーさんと会話しながら

 

作品について想いを巡らせる至福の時間。

 

ギャラリー招山さん、お越しくださいましたお客様、

 

告知してくださいました友人、知人の皆様どうもありがとうございました。

 

 

 

 

企画展はここでひと休み。

 

秋も深まる良い季節なので、

 

鈴虫の鳴き声と夜空に浮かぶ月を眺めながら秋の夜長を楽しみたいと思います。

 

皆様もどうぞ穏やかな日々をお過ごし下さい。

 

 

 

 

 

 

 

信じるもの

2017年7月29日

 

 

 

 

先日終了しましたmorison kobayashi「自然礼賛」展。

 

ご来場くださいました皆様、誠にありがとうございます。

 

 

 

 

わたしは3点の絵画で参加致しました。

 

初めて大型サイズの画面に描くということになり

 

飲み込まれそうな大きさと迫力に少々ひるんでしまいまして

 

何かと理由をつけては逃げ回り、なかなか画面と向き合う心の準備ができなかったのですが

 

とうとうお尻に火がついたところで、ようやくハートにも火をつけて描き上げました。

 

 

 

 

 

 

大型の絵は、絵の具の使用量も普段描いているサイズの絵とは比べものにならないくらい多く、

 

大きなハケでもって全身を使って描く作業は、ちょっとした肉体労働でした。

 

 

 

 

突如、雨雲のように胸の内にもくもくと湧き上がる不安。

 

それを打ち消すには頭の中にあるイメージのみが信じるべき唯一の星で

 

迷った時には、その星を見失わないように進んでゆきました。

 

 

 

 

当然のことですが、描き進めながらこの一筆を入れるべきか否か、

 

ドキドキの判断を下すのも自分です。

 

時に疑いながらも、それまでに経験してきたたくさんの選択。

 

結局は自分をいちばんの味方にするしかないのだと、つくづく思いました。

 

 

 

 

 

最近は絵を描くたびに、ようやく自分の中にある何かが姿を現わしつつあるような

 

形になろうとしているような感覚があります。

 

今回は自分に足りないところや改善すべき悪い癖も痛感し、

 

とても良い経験をさせてもらいました。

 

 

 

 

さて、次は9月に鎌倉、由比ヶ浜にありますギャラリー「招山」さんで、

 

小林、中村、高里の3人展です。

 

 

日程などは改めてspecial sourceのatelier galleryページにて告知致します。

 

こちらの展もどうぞ宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慰霊の日

2017年6月23日

 

 

 

6月23日は沖縄県にとって特別な日。

 

沖縄戦の戦没者の霊を慰める、祈りの日です。

 

 

 

 

戦後72年も経つと、戦争体験者も高齢になり

 

語り継ぐ人たちも少なくなってきたようです。

 

 

 

 

 

平和の礎(いしじ)に刻まれた名前とその向こう側にあった人生。

 

わたしたちは、無惨にも閉じられた多くの人生があったことを忘れかけたとき

 

同じ過ちを繰り返すのかもしれません。

 

 

 

 

戦争の恐ろしさを忘れてはいけない、わたしたちが眠っていてはいけない、

 

そう思います。

 

 

 

 

 

 

 

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